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高野久美子のcakeで元気!A piece of pie !

GIRBERTOさん

先日カフェでキッチン内の声かけについて店長と話していました。
わかっているつもりでも必ずスタッフの後ろを通る時は「後ろ通ります」と声かけてね、オーダーを通された時は必ず元気よく返事しようね、もう一度こういうところ徹底ね、と話していた時私は飲食業の大恩人の事を思い出していました。
無謀にも24才という若さで始めてしまったお菓子教室と同時に私は小さい頃から憧れていた伏見の喫茶店でケーキを焼いたりホールのお手伝いをさせてもらっていました。
その時の店長さんが岩崎さんという方でした。
求人もしていないお店に押し掛けていった私を渋々採用してくれた本当に大恩人です。
全くしつけがなっていない私を赤ちゃんを諭すように飲食業のノウハウを教えてくれ、ひと晩に7軒とかも回ってくれながらバーでのマナーも学ばせてくれました。
私がソムリエ試験を受けたりカフェを開けたのは90パーセント彼のおかげと思っています。
彼はグループ内一ぐらいの若さで独立し、自分のバーを開き、けれど1周年も迎えない前に大腸がんという理由であっという間に天国へ逝ってしまいました。
今だったらがんという病への立ち向かい方も違っただろうにと思いますが、
私は唯一1人で行けるバーと何でも聞ける飲食業のお兄ちゃんを同時に無くしました。
十数年前の事です。
彼が開いたGIRBERTOというバーは有能な後継者に引き継がれ、賑わいは続いたままと聞いていましたが私の足はその後遠のいていました。
それが先日たまたま行きつけの居酒屋さんでGIRBERTOさんの移転案内の葉書を見つけその足で即行ってみました。
以前と同じような階段を上がったそこは岩崎さんのお店だった時と同じ空気が漂う懐かしい空間でした。
カフェの店長ウッチーと戴く私の一番好きなお酒ラフロイグは本当においしかった。
何だか私の飲食業の縁が綺麗に一本につながったようで本当にうれしかった。おいしかった。
私は彼と同じように自分のお店を出したと同時に同じ病におそわれはしましたが、私は今元気だよって報告しました。
お兄ちゃんがそうか頑張れよって言ってくれている気がしました。
そんな声が聞きたくなった時はこれからもふと訪れると思います。
栄の焼鳥の名店千亀さんの階段を上がったお店です。皆さんもよかったら行ってみて下さい。
そこには岩崎さんがいます。
な~んて言うとイギリスのパブみたい。
でもおばけや妖精のいるお店はイギリスではいいお店なんですよ。そんなお店に来月はロンドンで行ってこようと思います。
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by takanokumiko | 2008-09-09 01:30
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